Ia-Iz

◆I
interference
「インターフェアランス」の略称。「干渉」または「妨害」。干渉電波、妨害電波、混信などの障害。頭文字をとって「I」と略記して「アイ」と読む。たとえば「テレビ I」(TVI:television interference)はアマチュア無線などの電波が、近所でテレビ放送を受信している受像機に混信したり干渉したりして、放送を受信できなくしたり、テレビ画面や音声に混信やノイズなどの妨害を与えること。ラジオ放送に対する妨害はBCI(broadcast interference)という。

◆iambic
iambic
アイアムビックまたはアイアンビックと読む。iambic方式のこと。iambicという言葉はエレクトロニック・キーヤー(エレキーヤー)に関連している用語である。シングルパドル(レバーが1枚羽根のパドル)を使うか、またはiambicに対応していないエレキーヤーにつないで「C」を送信しようとするとき、電鍵のレバーを「−」「・」「−」「・」と4回も叩かなければならない。ところがデュアルパドルをiambic方式対応のエレキーヤーにつなぎ、2枚のレバーの両方を内側にスクイーズすると、エレキーヤーは短点と長点を交互に自動的に送信し続ける。つまり2枚のレバーの両方を内側にスクイーズするだけで「−」「・」「−」「・」を送信する。同様に、ピリオドの「・−・−・−」や、+記号の「・−・−・」などの短点と長点を交互打鍵する文字も、スクイーズするだけで送信できる。しかし実際には、ほとんどのアマチュア無線家は、ごく一部の文字にしかこのテクニックを用いていない。当然だが、iambic方式のエレクトロニック・キーヤーとパドルを組み合わせると、片方のレバーを押し続ければ短点を自動送出するし、もう片方のレバーを押し続ければ長点を自動送出する。

iambicパドルの接点の構造

◆iambic Aモード/iambic Bモード
iambic A mode / iambic B mode
「iambic Aモード」と「iambic Bモード」の違いは、レバーをスクイーズしたあとの開放時に、次にどちらの符号要素(element)が出るか、つまり長点が出るか短点が出るかの違いだけである。この違いを意識しながら運用している人は少ない。1970年代にエレクトロニック・キーヤー用の半導体回路を開発した米国カーチス(Curtis)社の製品が「iambic Aモード」と呼ばれ、他方、WB4VVFが米国QST誌に投稿したアキュー・キーヤー(Accu-keyer)が「iambic Bモード」と呼ばれたことによりAモード(カーチス・キーヤー)とBモード(アキュー・キーヤー)の2方式が定着した。デュアルパドルを使ってスクイーズ操作で短点と長点を交互に自動送出するテクニックは比較的高度なので、高速打鍵すると意図しないモールス信号を出してしまうことがある。そこでKC0QとN0IIが「スーパーキーヤー」を開発した。スーパーキーヤーでは短点と長点の送出のタイミングが改善されている。

iambicA/Bモード切替スイッチを搭載しているMFJ-490

◆IARU
International Amateur Radio Union
「国際アマチュア無線連合」の略号。世界各国のアマチュア無線家とアマチュア無線機関で組織されている国際団体。1925年4月18日にフランスのパリ大学で開かれた結成総会で設立された。4月18日の日は、2005年に結成80周年を記念して「世界アマチュア無線の日」とされた。なお、戦後の日本にアマチュア無線が復活した事を祝う「アマチュア無線の日」は毎年7月29日である(制定は1973年)。

◆IC
integrated circuit
「集積回路」または「電子集積回路」ないしは「半導体集積回路」の略号。シリコンチップの上にトランジスタや抵抗、コンデンサなどを形成し、一つのまとまった機能を持たせたもの。これらの回路素子を基板上に集積したもの。1950年代半ばに、シリコンバレーのロバート・ノイスがフェアチャイルド社の実験室でミニットマン(初期のICBM)のために発明した。同時期にテキサス・インストルメンツ(TI)の技術者、ジャック・キルビー(当時35歳)が一枚の半導体に電子回路を詰め込んで細い電線でつなぐ方法を開発することに成功した。初期の電子機器や通信機器は真空管から始まったが、その後の進化はICの発明に負うところが大きい。集積回路の基板をチップという。写真技術を応用した大量生産で安く製造でき、接触点がないため故障が少なく、小型化でき、高速処理に有利など、真空管に比べた長所は計り知れない。ICの基板上に配置されている一個一個のトランジスタは原子レベルのサイズにまで微小化されつつある。このため今日のIC上のトランジスタ単体は肉眼では見ることができない。トランジスターの大きさは、わずか50年間で100万分の一以下に縮小された。人類の発明品の中でこれほど小さくなったものは他にない。

◆ICキーヤー
IC(集積回路)を用いて製作されたモールス符号の自動発生器。エレクトロニック・キーとほぼ同義語。

◆ID
identification
「身分証明」の略号。IDはアマチュア無線家の場合はコールサインとなる。一般には米国でIDというと各州発行のドライバーズ・ライセンス(運転免許証)である。特にPhoto ID(顔写真入りの身分証明)というとドライバーズ・ライセンスを指すが、これを持たない外国人はパスポートがPhoto IDになる。

◆IF
intermediate frequency
「中間周波数」の略号。受信機の回路で、受信した信号をその周波数のまま検波すると動作が不安定になるため、いったん適切な周波数に変換してから検波や増幅をおこなう。この周波数を中間周波数という。この中間周波数への変換を一回だけおこなう方式をシングル・スーパーといい、二回おこなう方式をダブル・スーパーという。

◆INFO
information
「情報」を意味する略号。

◆interference
interference
「インターフェアランス」と読む。「干渉」または「妨害」。干渉電波、妨害電波、混信などの障害。頭文字をとって「I」と略記して「アイ」と読むこともある。たとえば「テレビ I」(TVI:television interference)はアマチュア無線などの電波が、近所でテレビ放送を受信している受像機に混信したり干渉したりして、放送を受信できなくしたり、テレビ画面や音声に混信やノイズなどの妨害を与えること。ラジオ放送に対する妨害はBCI(broadcast interference)という。

◆IOTA
Islands On The Air
英国アマチュア無線連盟(RSGB)IOTA部門 RSGBIOTA が発行しているアワード。世界には地政学的に1,200以上の島がある。 一つの島との交信を1ポイントとカウントし、こうした島々の無線局と交信すると、100ポイントごとにアワードを申請できる。IOTAアワード by JI6URUで規約や島の定義について日本語で知ることができる。「RSGB」を参照。

◆ISMバンド
Industry-Science-Medical band
「ISM帯」「産業科学医療用バンド」とも。ISMは「産業・科学・医療」の略語。無線LAN(2.4GHz帯など)や電子レンジ(2.4GHz帯など)でも用いられている周波数帯。ITUの設定・想定・予定によれば、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、915MHz、2.4GHz、5.8GHz、24GHzがISMバンドである。日本ではこのうち2.4GHz帯(2.4GHz〜2.5GHz)と5.8GHz(5.725GHz〜5.875GHz)を設定している。

◆ITU
International Telecommunication Union
「国際電気通信連合」の略号。国連(国際連合)の専門機関のひとつ。「WIZ」(Worked ITU Zones)というITUゾーンを対象とするアワードを発行している。これは70ゾーン以上のアマチュア無線局と交信すると獲得できるアワード。「ITUゾーン」「WIZ」を参照。
ITU本部はスイスのジュネーブにある。無線通信、そしてインターネットなどの電気通信分野の発展のため、世界各国の間の利害を調整しながら各種通信技術の公的標準や通信における規則の制定を目的としている。無線周波数帯の割り当てやプロトコルの制定もそのひとつである。ITUは「Sector」(部門)と呼ばれる部局を持つ。それはITU-R(無線通信部門)、ITU-T(電気通信標準化部門)、ITU-D(電気通信開発部門)である。世界各国の業界団体やメーカーが、それぞれの政府と組んでITUに政治的圧力を加えるため、公的標準の制定や無線周波数帯の割り当ては困難を極めることが多い。ITUはITU勧告リストをインターネット上に公開している。

◆ITUAJ
ITU Association of Japan
財団法人「日本ITU協会」の略称。日本とITU本部の橋渡し役として活動しており、ITU関連のアワード表彰状の発行も、一部、おこなっているほか、自らも「日本ITU協会アマチュア無線クラブ局」(JO1ZZA/8J1ITU)を持つ。

◆ITUゾーン
ITU Zone
ITUが世界の大陸と島をゾーン1からゾーン75までの75区に区切った区域割り。CQゾーンが40に区切っているのに比べて区域割りが細かいことからQSOチャンスが増えるように思えるが、DXCCと比べてITUゾーンを意識したDXペディションや移動運用局が少ないため苦労する。ITUゾーンを対象とする代表的なアワードがWIZ(Worked ITU Zones)である。毎年1月1日から12月31日の間に30局以上の異なるITUゾーンの局と交信すると別途取得できるWIZアワードもあり、日本ITU協会がアワード表彰状などを発行している。本書の「世界地図でわかるITUゾーン」を参照。「WIZ」を参照。



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