あ〜お

本章の目次

           

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◆アース
earth
「地球」「大地」「接地」「接地線(アース線)」を意味する言葉。米語では「グラウンド」(ground)といい、英国では「アース」(earth)と表現することが多い。「アースをとる」というのは、地下深くに銅製のアース棒や炭素製のアース棒を埋め込み、棒につないだワイヤーを無線機の筐体(ケース)などにつなぐこと。感電の防止、不要電波発射の防止、受信雑音の防止などが目的。アース接続を英語で「ground connection」という。

◆アーム
arm
電鍵の主軸。レバーまたは槓杵(こうかん)とも。

◆アイソレーション
isolation
「絶縁」「隔離」といった意味。シャック外に妨害波が漏れるのを防ぐために「アイソレーション・フィルタ」を電源接続部分に挿入することがある。

アイソレーション・フィルタ

◆アイボール
eyeball
アイボールの原意は「目玉」「顔と顔を突き合わせる」。アイボールQSOといえばアマチュア無線家同士が、空の電波ではなく、面と向かって会話すること。英語圏でも「Eyeball QSO」というと同じ意味であり、「Eyeball QSL card」を発行し合う人も多い。

◆アウトドア
outdoor
「戸外」「屋外」「野外」のこと。

◆空きチャンネル
not busy channel
誰も交信していないチャンネル。俗に「空きチャン」(あきちゃん)とも。

◆秋葉原
Akihabara
東京都下のJR秋葉原駅の周りに電気店やハムショップ、パーツショップやパソコンショップが密集する電気街。世界有数の規模であることから中国人や韓国人、欧米人の観光客にも人気がある。俗に「あきば」とも。
秋葉原電気街振興会のホームページに電気街の情報が詳しい。

◆アクセサリー
accessory / accessories
「付属品」という意味だが、電鍵やマイク、プリアンプなどの「オプションの装置」や「外付けの装置」を指すことも多い。

◆アクセス
access
ネットでは「特定のサイトに入ること」をアクセスというが、無線ではレピータや通信衛星などの機能を起動すること。

◆アクティブ
active
「活発な」「現に活動中」という意味。「アマチュア無線を活発にやっている」という意味と、「(廃局しないで)現在も活動中」という意味とがある。回路素子などでは「能動」という意味で用いられている。

◆アクティブ素子
active element
増幅作用や発振作用などのエネルギーを生む能力がある回路部品。「アクティブ・エレメント」「能動素子」とも。ICチップなどの半導体素子が代表的。対語は「パッシブ素子」。

◆アクティブ・フィルタ
Active Filter
「能動フィルタ」とも。抵抗とコンデンサとコイルだけを組み合わせたパッシブ・フィルタ(受動フィルタ)回路では初期の目的の機能を得られない場合、増幅素子(または増幅器)を組み合わせて増幅機能などを実現するフィルタ。ハイパス・フィルタやローパス・フィルタ、電源ハムの除去回路などとして利用する。

◆アダプタ
adapter / adaptor
「接続器具」「補助器具」「付加装置」などを示す言葉。プラグやコンセントなどの仕様が違うものをつなぐ器具もアダプタのひとつ。

◆アック
acknowledgement
「ACK」のこと。コンピュータ間の通信で間違った内容のデータが送られるのを防ぐため、データ転送が正常に終了したときに受信側から送信側へ送られる信号。

◆アッテネータ
attenuator
コイルやコンデンサを組み合わせた減衰器/減衰回路。無線機器やオーディオ機器で、強すぎる信号を弱めるために用いる。トランシーバに備えられているATTスイッチを0dbから10db、20db、30dbなどへ切り替えると、強すぎる電波の局からの信号を弱めることができる。アッテネータの略号は ATT 。

◆アップバータ
up converter
「アップ・コンバータ」の略称/俗称。電圧や周波数を上げる変換器。たとえば12V仕様の車で24V仕様の機器を使いたい時に用いるのは「DC-DCアップバータ(DC12V-DC24V)」。HF仕様の送信機で50MHz帯の電波を送信するために電力増幅管を使ってアップバータを自作するのがはやった時代もあった。「ダウンバータ」を参照。

◆アップリンク
uplink
衛星通信で、地上から人工衛星へ送信する電波がアップリンク(上り回線)。逆に、衛星通信で、人工衛星から地上に送信してくる電波がダウンリンク(下り回線)。

◆アナログ
analog
名詞のアナログは「類似しているもの」、形容詞のアナログは「データを連続的に変化する値で表わす仕組みの」という意味である。現実に類似させて表現するとは、たとえばスピーカーは電流の変化を音声に類似した音波に変える。離散的でない連続的に変化する値をもつものとは、たとえば時分秒の3針式の時計とデジタル時計を比べると、針式の時計はアナログ表示である。なお、液晶画面に針状のラインを刻々と表示するなどの手法によりデジタル値をアナログ表現することも可能である。対語は「デジタル」。

◆アパマン・ハム
a HAM operator who lives in an apartment
アパートやマンションに住んでいるアマチュア無線家。アンテナ設置に絡んで住人や家主の同意が必要だったり、物理的・技術的な困難さ(特にHF帯)があるため、数々の奮闘記が雑誌やネットで報告されている。

◆アマチュア衛星
Amateur Radio Satellite
アマチュア無線家が利用できる通信衛星。アマチュア衛星には「オスカー」という名前が付けられている。
1961年12月12日(米国時間)、米国西海岸のグループ「プロジェクト・オスカー」(Project OSCAR)が打ち上げた初のアマチュア衛星が「オスカー」(OSCAR-1)だった。これを契機に、1969年、米国の首都ワシントンDCで教育団体としてAMSAT(アマチュア衛星通信協会)が発足した。AMSATの尽力により、1983年6月16日(現地時間)にはAMSAT-OSCAR 10 (AO-10)が仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 1-06(ARIANE 1-06)で打ち上げられた。ところが衛星がロケットの三段目を切り離した後、ロケットの推力が設計通り低下しなかったため追突された。この結果、AO-10は高度3,997km〜35,449kmの楕円軌道衛星になってしまった。これに伴いバンアレン帯(放射線帯)を通る時間が長くなり、半導体チップの損傷が設計より速く進んだ。現在はほとんど機能していない。AO-10の送信は435MHz帯、受信は145MHz帯であった。続いてAMSAT-OSCAR 13(AO-13)が1988年6月15日(現地時間)、仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 4(ARIANE-4)で打ち上げられた。打ち上げは成功し、1ヵ月以内に2回にわたる軌道修正にも成功した。これによりAO-13は自力で計画通りの軌道に乗ることに成功した初のアマチュア衛星になった。1988年7月22日以降はBモードを皮切りに、順次、運用が始まった(RUDAKを除く)。1990年になると軌道がずれ始め、1996年12月5日、大気圏へ再突入した。2007年10月現在、オスカーの連番は50を数えている(SaudiSat-OSCAR-50<SAUDISAT-1C>)。
一方、国産初のアマチュア衛星はFuji-Oscar 12(FO-12)である。JARLが旧・宇宙開発事業団(NASDA)の「H1ロケット」により1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げた。「ふじ」(Fuji)とも呼ばれている。これに搭載されたデジタル系とアナログ系のトランスポンダーを設計・製作は日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が担当した。FO-12は1989年11月に運用を終えた。なお、FO-12の開発時のコード名は「JAS-1」(Japan Amateur Satellite-one)だった。Fuji-Oscar 12(FO-12)に続くJARLの2号機はFuji-Oscar 20(FO-20)である。JARLが1990年2月7日に打ち上げた。「ふじ2号」(Fuji 2)とも呼ばれている。上りは145MHz帯、下りは430MHz帯を用いている。その後、アナログ系のJAモードのトランスポンダーは運用可能だが、CWビーコンの発射が不安定になった。なお、FO-20の開発時のコード名は「JAS-1b」(Japan Amateur Satellite-one b)だった。「アムサット」を参照。
なお、旧ソ連は1978年10月26日に初めてのアマチュア衛星「RS-1,RS-2」(Radio Sputnik 1, 2)の打ち上げに成功している。

オスカー(AO-16)

◆アマチュア・テレビジョン
amateur television
テレビ放送と同様の規格のFSTV(高速走査テレビジョン)とよばれる型式で動画の映像を送受信するアマチュア無線のテレビ通信。「ATV」と略す。1秒間に30コマの画像をやりとりする。周波数を広く占有するため、1992年以降は帯域幅が広い1200MHz以上の周波数帯でおこなわれるようになった。米国など海外のATV団体。ATVは、低速走査高速走査テレビジョンのSSTV(スロー・スキャン・テレビジョン)とは規格が異なる。

◆アマチュア・パケット無線
amateur packet radio
「AX.25」という通信プロトコル(パケット無線プロトコル)を用いておこなう無線機とコンピュータの間の通信形態。インターネット/イントラネットで用いられているパケット通信と同様、パケットと呼ばれる単位にデータを分割して送受信する。アマチュア無線局が中継することにより、通信スピードは遅いが、インターネットを通じて世界規模でメールの送受信やBBS(電子掲示板)を楽しむことができる。一般のパケット無線通信の技術は、米国ハワイ大学で1970年代に開発・実験がおこなわれていたが、アマチュア無線では1980年前後にカナダのアマチュア無線家たちが世界に先駆けてアマチュア・パケット無線を運用し始めた。その後、ARRLが中心となって AX.25 プロトコルをアマチュア無線局の2局間通信に転用、1982年6月26日にWA7GXD(Lyle Johnson) と KD2S(Den Connors)が初交信に成功した。この後、「AX.25」がアマチュア・パケット無線の標準プロトコルとなった。「パケット通信」を参照。

パケット無線用インターフェース

◆アマチュア・バンド
Amateur radio band
広範囲の電波の中でアマチュア無線に割り当てられた特定の複数の周波数帯。「7MHzバンド」と周波数で表現するときもあれば、「40mバンド」と波長で表現することもあるが、同一のアマチュア・バンドである。それぞれのアマチュア・バンドには運用周波数の上限と下限が規定されている。さらにJARLやARRLなどの各国のアマチュア無線団体が、それぞれのアマチュア・バンド内における電波型式別の使用区分を細かく定めているが、これを「アマチュア・バンド使用区分」という。従事者免許の種類によっては運用できないアマチュア・バンドもある。日本では10MHz帯(30m)と14MHz帯(20m)は第2級アマチュア無線技士以上の資格がないと運用できないし、1.8/1.9MHz帯と18MHz帯は第3級アマチュア無線技士以上の資格がないと運用できない。本書の「アマチュア・バンド」を参照。ハムバンドには使用区分(バンドプラン)がある。本書の「日本のアマチュア・バンド」と、本書の「米国のアマチュア・バンド」を参照。

◆アマチュア無線
amateur radio / ham radio
しばしば「ハム」とも呼ばれる無線の趣味。「アマチュア無線とは99の趣味の集合体である」と言う人もいるほど奥が深い。1960年代後半から1970年代にかけて世界的なブームになったが、インターネットと携帯電話の普及により、その後のアマチュア無線人口は減少している。経済力、知識、技術力を必要とすることから「キング・オブ・ホビー」として知られる。金銭的な利益を目的とせず無線交信や無線機器・アンテナの自作、研究と実験を楽しむ。電波の送信には電波法上の従事者免許が必要である。電波法でアマチュア無線に許可された特定の複数の周波数帯を「アマチュア・バンド」という。

◆アマチュア無線局免許
amateur station license
従事者免許とは別に、開局に必要な免許。技術基準を満たす無線設備に与えられる。日本では総務大臣または各地方の総合通信局長が交付する。「局免許」「局免」と略すこともある。「無線局従事者免許」を参照。

◆アマチュア無線従事者免許
amateur radio operator license / amateur radio license / ham radio license
日本では日本無線協会が実施する国家試験を受験して合格すると交付される。第四級アマチュア無線技士(空中線電力10W以下の無線設備/CWを除く)、第三級アマチュア無線技士(空中線電力50W以下の無線設備)、第二級アマチュア無線技士(空中線電力200W以下の無線設備)、第一級アマチュア無線技士(空中線電力が1,000W以下の無線設備)がある。JARD(日本アマチュア無線振興協会)が養成課程講習会を開催し、法規や無線工学の授業をおこなっている。アマチュア無線従事者免許を「従事者免許」と略すことがある。
アメリカではアマチュア無線従事者免許の試験は、FCCの職員ではなく、ボランティアのアマチュア無線家チーム(VEC:Volunteer Examiner Coordinator)がおこなっている。日本の第四級アマチュア無線技士に相当するのは「Technician」、第三級は「CW試験合格済みのTechnician, Novice」、第二級は「Advanced, General, Conditional」、第一級は「Amateur extra」。

◆アマチュア無線ハンドブック
Radio Amateur's Handbook
「日本アマチュア無線連盟」(JARL)が発行する大型書籍のハンドブック。俗に「アマハン」とも。旧版の初版は昭和43年(1968年12月)に発行、新版の初版は昭和56年(1981年11月)に発行。随時、改訂版を発行している。内容は電波工学、電子回路、通信方式、機器の基礎知識や、アマチュア無線の運用に関する知識やデータなど。米国のARRLも同様に英語版の「Radio Amateur's Handbook」を発行している。

◆アムサット
AMSAT / The Radio Amateur Satellite Corporation
米国に本部があるアマチュア衛星通信協会。「アマチュア衛星協会」ともいう。宇宙衛星通信の普及と発展を目的とする団体。1961年12月12日(米国時間)、米国西海岸のグループ「プロジェクト・オスカー」(Project OSCAR)によって打ち上げられた初のアマチュア衛星「オスカー」(OSCAR-1)を契機に、1969年、米国の首都ワシントンDCで教育団体として発足したのが始まりである。日本の関連団体は「日本アマチュア衛星通信協会」(JAMSAT)である。[AO-10][AO-13]を参照のこと。

◆アルコール変調
alcoholic modulation
飲酒した状態で無線交信していることを示す俗語。「AC変調」とも。医学用語ではアルコールが免疫機能に及ぼす状態のこと。

◆アレスター
arrester / lightning arrester
防止装置、特に避雷器(lightning arrester)のこと。誘雷・落雷から人や電子機器を守る装置。雷の電流を避雷針やアンテナから(スパークギャップなどを通じて)アースへ迂回させる仕組み。

◆アワード
award
「賞」。交信国(カントリー)や交信局の数によって発行される賞。日本では、10コールエリア(1〜φ)の局と交信してQSLカードを手に入れると得られるJARL発行の「AJD」(All Japan Districts Award)や、47都道府県のアマチュア無線局と交信してQSLカードを手に入れると得られるJARL発行の「WAJA」(Worked All Japan Prefectures Award)が有名。米国では、DXCCリストに基づく世界の100カントリー以上のアマチュア無線局と交信するとARRLから発行されるDXCC(DX Century Club)や、米国CQマガジン誌(CQコミュニケーションズ社)が発行している「WPX」(Worked Prefix Award)アワードが有名。英国では、世界の100以上の島々と交信すると発行されるアワード「IOTA」(Islands On The Air)が有名である。IOTAは英国アマチュア無線連盟(RSGB)のIOTA部門 RSGBIOTA が発行している。ドイツでは、ドイツ国内の地域(DOK)のアマチュア無線局と100局以上交信してQSLカードを得ると獲得できる「DLD」(Deutschland-Diplom:ドイッチェランド・ディプロム)が有名である。DLDはDARC(ドイツ・アマチュア無線連盟)が発行している。オーストラリアでは、オーストラリアの全コールエリアと交信すると獲得できる「WAVKCA」(Worked All VK Call Areas)が有名である。WAVKCAはWIA(オーストラリア無線協会)が発行している。

 ©DARC

◆アワード・ランキング
award ranking
アワード獲得のための達成度一覧表。「Cfm/Wkd」で表記され、「Cfm/Wkd: 99/115」などと書く。Cfmは「交信確認数(QSLカードを得た数)」(Confirmed)。Wkdは「交信数」(Worked)。

◆アンカバー
undercover
原意は「秘密の」。無免許で電波を送信している人。無免許で電波を送信すること。

◆安定化電源
voltage regulated power supply / switched-mode power supply
一般的に、家庭用の100VのAC電源から12Vなどの直流電流をリグに安定的に供給するための電源装置。スイッチング回路を内蔵した非常に小さくて軽い安定化電源装置も市販されている。「スイッチング・レギュレータ」を参照。

◆アンテナ
antenna
無線通信の黎明期に線状のアンテナが用いられたことから日本では「空中線」とも。略語は「ANT」(antenna:“昆虫の触角”の意味もある)。空間から電波を受信し、または空間へ電波を送信する装置。主に金属製のワイヤーやパイプなどの棒を素子とする。無指向性のものはバーチカル(垂直)アンテナのグランドプレーン・アンテナ(GP)などがある。指向性のものはビーム・アンテナの八木アンテナやパラボラ・アンテナなどがある。アンテナ素子(エレメント)は半波長(2分の1波長)の長さが一般的であり効率が良いが、コイルなどを用いて短縮することもある。また単一のアンテナをマルチバンダー(複数の周波数帯共用型)としてそれぞれのバンドで効率を上げるのにもコイルなどを用いる。周波数が高くて波長がセンチ波かそれより短くなると電波の伝わり方が光の性質に似てくるため望遠鏡やサーチライトの原理がそのまま用いられる。

◆アンテナ・カップラー
antenna coupler
アンテナの性能をベストに引き出すための装置。「カプラー」などとも表記する。送信機とフィーダの間か、またはフィーダとアンテナの間に入れて用いる。当該周波数に合わせた容量のコイルとバリコン(バリアブル・コンデンサ)を組み合わせ、バリコンを調整して整合をとる型式のカップラーが一般的である。

◆アンテナ・スイッチ
antenna switch
「アンテナ切替器」を参照。

◆アンテナ分配器
antenna duplexer
1本のアンテナと、複数の受信機/送信機をつなぐための分配器。「アンテナ共用器」とも。特に2分配する装置を「デュプレクサ」という。144/430MHz対応のマルチバンド・アンテナと、144/430MHz対応のトランシーバをつなぐのに用いる分配器が典型的なデュプレクサである。

◆アンテナ切替器
antenna switch
複数のアンテナまたは複数の通信機を切り替えるスイッチ。「アンテナスイッチ」とも。そのほとんどが同軸ケーブルを介して切り替えることから「同軸切替器」または「同軸スイッチ」ともいう。手動でツマミを回して切り替えるタイプと、同軸リレー(高周波リレー)を使ってリモートで切り替えるタイプとがある。

◆アンテナ・チューナー
antenna tuner / transmatch
アンテナ同調器。アンテナとリグの同調(整合)をとる装置または電気回路。

◆アンプ
amp / amplifier
「増幅器」の口語的略語。

◆アンプ・アイ
amplifier interference
アマチュア無線などの電波が、ステレオなどのオーディオセットのアンプに回り込んで妨害電波になり、雑音や通信音声や電信の信号がオーディオの音声に悪影響を与える現象。「 アンプ I 」「 AMPI 」と表記することもある。

◆アンペア
ampere
電流の単位。略語は「amp.」。アンペアを意味する基本単位の記号は「A」で、「15A」「15mA」(mAはAの1,000分の1)などと表記する。電流が流れる導線の周りに生ずる磁場の法則を解明したフランスの物理学者アンペール(Andre-Marie Ampere)に由来する。



◆イグニッション・ノイズ
ignition noise
車のエンジンなど内燃機関の点火プラグの火花放電によって発生する雑音。車載リグで移動運用する場合の対策としてモービル用ノイズ・フィルタが市販されている。リグのアースをエンジンルームにとると良い結果が得られることもある。

◆いし
transistor / IC
トランジスタまたはIC(電子集積回路)の俗称。

◆異常伝播
unusual propagation / unpredictable propagation
既知または未知の自然現象により突発的に日常と異なる状態で電波が伝播すること。電離層の状態が原因の異常伝播として「Eスポ」「デリンジャー現象」「ロングパス」がある。太陽活動による異常伝播として太陽風によると見られる「磁気嵐」がある。他に「エコー」や「赤道横断伝播」などがある。

◆いっちょんちょん
144
144MHz帯の俗称。

◆移動運用
-
常置場所(普通はシャック)を離れて無線交信などの運用をおこなうこと。たとえばJAφ局が首都圏の1エリアで運用するときは「CQ。こちらはJAφBCHポータブル1」などと言う。CW運用のときは「CQ DE JA0BCH / 1」と打鍵する(/ 1[−・・−・ ・−−−−])。車で移動することをモービル運用という。アマチュア無線局免許状を申請するときに「移動範囲」を「陸上、海上及び上空」にしておくと移動運用が合法的におこなえる。アマチュア無線技士の従事者免許があれば海外運用もおこなうことができる。
ただし基本的に日本と相互認証を合意している米国(無線従事者免許証と無線局免許状の英文証明は不要)、カナダ、ドイツ、フランス(無線従事者免許証と無線局免許状の英文証明は不要)、オーストラリア、韓国、フィンランド、アイルランド、ペルーの9ヵ国に限る。これ以外の国・地域で運用したい場合は現地で現地の従事者免許と局免許を取得する必要がある。対語は「固定運用」。

◆イメージ混信
image jamming
日本語では「影像混信」と書くのが定訳。スーパー・ヘテロダイン受信機の内部混信。受信周波数の上下に幽霊のように混信電波が現れる現象。幽霊のように現れる周波数は、上下それぞれ中間周波数の2倍離れた周波数。

◆イレブン
eleven
「CB」の俗語。CBの周波数帯は27MHzの波長は11mだが、11を英語読みすると「イレブン」になる。

◆インターネット
Internet
パケット交換の技術を用いながらTCP/IPを標準プロトコルとして世界中の通信ネットワークを結びつけたネットワークのネットワーク。インターネット上ではウェブページで情報発信やネット交流が盛んにおこなわれているほか、メールの交換もインターネット上でおこなわれている。インターネットとアマチュア無線と接続する技術・製品も実用化している。「アマチュア・パケット無線」を参照。

◆インターフェアランス
interference
「干渉」または「妨害」。干渉電波、妨害電波、混信などの障害。頭文字をとって「I」と略記して「アイ」と読むこともある。たとえば「テレビ I」(TVI:television interference)はアマチュア無線などの電波が、近所でテレビ放送を受信している受像機に混信したり干渉したりして、放送を受信できなくしたり、テレビ画面や音声に混信やノイズなどの妨害を与えること。ラジオ放送に対する妨害はBCI(broadcast interference)という。ステレオなどのオーディオ装置に対する妨害は「アンプ I」という。

◆インターフェース
interface
異質なものを互いに結ぶ“橋渡し役”を果たすデバイスやソフトウェアを広くインターフェースと呼ぶ。

パケット無線用インターフェース

◆インダクタ
inductor
「誘導子」。コイルの別名。インダクタンスを用いるために電線を巻いたもの。記号はL。

◆インダクタンス
inductance
「インダクタンス」とは電磁誘導における「誘導係数」のこと。単独の電気回路で、その回路自身の電流が変化すると、電磁誘導で電流の変化に比例する起電力が生じるが、この比例定数が「自己インダクタンス」(self inductance :記号はL)である。他方、複数の電気回路が隣接している場合、他の回路の電流が変化すると電磁誘導で電流の変化に比例する起電力が生じるが、この比例定数が「相互インダクタンス」(mutual inductance :記号はM)である。単にインダクタンスと言えば自己インダクタンスのことを示す。またインダクタンスを持つ回路素子をインダクタンスということもある。「コイル」「共振回路」を参照のこと。

◆インバータ
inverter
整流器の機能と逆に、直流を交流に変換する装置や回路。家庭のコンセントから電源をとる交流電源仕様のリグなどを車内で使いたいとき、インバータを利用する。「DC-ACコンバータ」ともいう。

◆インバーテッド V アンテナ
inverted V anntena
逆V型アンテナ。狭い敷地で、家の屋根や一本の柱からワイヤーを左右に1本ずつ下方向へ張るだけで完成する。かんたんに設置できるので人気がある。

インバーテッド V ダイポール・アンテナ

◆インピーダンス
impedance
交流の流れを妨げる抵抗成分。単位はΩ(オーム)。周波数によってインピーダンスは変化する。アマチュア無線ではアンテナと無線機のインターフェースのインピーダンスは50Ωが多い。インピーダンスの記号はZ。

◆インピーダンス・マッチング
impedance matching
たとえばインピーダンスの高いヘッドホンを、インピーダンスの低い受信機の端子につなぐと、ミス・マッチング(不整合)を起こして充分な音量が得られないなどの問題が発生する。アンテナをトランシーバにつなぐときも同様に、同じインピーダンス同士(たとえば50Ωと50Ω)でないと受信感度や送信に問題が起きる。双方のインピーダンスを合わせることを「インピーダンス・マッチング」という。



◆ウエート
weight
重み。長点・短点のレシオ。エレクトロニック・キーヤーのウエートダイヤルを右に回していくと(ウエートを上げていくと)、長点の長さも短点の長さも狭まって、せっかちな感じになる。逆にウエートダイヤルを左に回していくと(ウエートを下げていくと)、間延びした感じになる。ウエートを適正に調整すると聞きやすい。

◆打ち上げ角度
Angle of Radiation / radiation angle / "Take-Off Angle"
アンテナの指向性のうち、東西南北方向ではなく、仰角、すなわち水平面より上方向への角度と、水平面とがなす角度の指向性を打ち上げ角度という。HF帯で電離層反射を利用してDXを目指す場合、打ち上げ角度が低いほど電離層反射の回数が少ないため発射電波の減衰が少なくて有利である。

◆宇宙開発事業団
NASDA / National Space Development Agency of Japan
2003年10月、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に統合された。

◆宇宙航空研究開発機構
Japan Aerospace Exploration Agency
略称は
JAXA 。「ジャクサ」ともいう。独立行政法人。宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)を一つに統合して2003年10月に誕生、JAXAは日本唯一の宇宙航空開発・研究をおこなう機関となった。2005年4月には「JAXA長期ビジョン“JAXA2025”」を提唱し宇宙航空の面から「持続可能な開発」を目指している。前身の一つである旧・宇宙開発事業団(NASDA)は、1986年8月13日に種子島宇宙センターから「H1ロケット試験機」で国産初のアマチュア衛星「FO-12」(Fuji-Oscar 12)を打ち上げた。また2007年9月14日には月周回衛星(月探査機)の「かぐや」を搭載した「H-IIAロケット13号機」を種子島宇宙センターから打ち上げることに成功している。

◆宇宙通信
space communication
人工衛星(衛星通信)や月面(EME:月面反射通信)や流星(流星散乱通信)を利用した通信。

◆ウッドペッカー
woodpecker
HF帯などで経験するキツツキ(woodpecker)が鳴らすような「カタカタ……」という音色の断続的な妨害電波。この種の発生源は諸説あるが、日本で受信するウッドペッカーは、極東アジアの国々が出す超水平線レーダー(OTH:over-the-horizon radar)の電波ではないかという。一般にOTHの発射電波は2MHz〜20MHzであり、時系列上で変化する。OTHは軍事用で、ICBMなどの長距離ミサイルを発射直後に探知する目的で使われている。[OTH]を参照のこと。

◆運用
operate
アマチュア無線では、無線局で無線機を使って交信することを運用という。固定運用と移動運用(陸海空)がある。



◆エアーダックス・コイル
air cored coil / air coil
「空芯コイル」のこと。かつて自作者向けの製品の商品名で有名になった。当時、アンテナ用のローディング・コイルなどで用いられた。

◆エアー・トリマー
air trimmer
半固定式のエアー・バリコン(エアー・バリアブル・コンデンサ)。回路基板上に取り付けられ、機器の筐体(ケース)の蓋を開くと調整できる。

◆エアロ・ノーティカル・モービル
aero-nautical mobile
「上空移動」のこと。飛行中の航空機から運用すること。一般の旅客機からオンエアすると航空機の制御や無線に障害をもたらす恐れがあるため禁止されている。主に自家用機からの運用がおこなわれている。「エアーモービル」は和製英語なので英語圏では通じにくい。

◆衛星通信
satellite communication
人工衛星に搭載されたリピータ(中継器)を利用して[地上〜上空〜地上]で交信する通信方法。上りと下りで周波数帯を変えるのが普通である。地上局から人工衛星へ向けて送信する上り方向を「アップリンク」、人工衛星から地上局へ向けて送信する下り方向を「ダウンリンク」という。アマチュア無線家が利用できるアマチュア衛星は「オスカー」である。
1961年12月12日(米国時間)、米国西海岸のグループ
「プロジェクト・オスカー」(Project OSCAR)が打ち上げた初のアマチュア衛星が「オスカー」(OSCAR-1)だった。これを契機に、1969年、米国の首都ワシントンDCで教育団体としてAMSAT(アマチュア衛星通信協会)が発足した。AMSATの尽力により、1983年6月16日(現地時間)にはAMSAT-OSCAR 10 (AO-10)が仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 1-06(ARIANE 1-06)で打ち上げられた。ところが衛星がロケットの三段目を切り離した後、ロケットの推力が設計通り低下しなかったため追突された。この結果、AO-10は高度3,997km〜35,449kmの楕円軌道衛星になってしまった。これに伴いバンアレン帯(放射線帯)を通る時間が長くなり、半導体チップの損傷が設計より速く進んだ。現在はほとんど機能していない。AO-10の送信は435MHz帯、受信は145MHz帯であった。続いてAMSAT-OSCAR 13(AO-13)が1988年6月15日(現地時間)、仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 4(ARIANE-4)で打ち上げられた。打ち上げは成功し、1ヵ月以内に二回にわたる軌道修正にも成功した。これによりAO-13は自力で計画通りの軌道に乗ることに成功した初のアマチュア衛星になった。1988年7月22日以降はBモードを皮切りに、順次、運用が始まった(RUDAKを除く)。1990年になると軌道がずれ始め、1996年12月5日、大気圏へ再突入した。
一方、国産初のアマチュア衛星はFuji-Oscar 12(FO-12)である。JARLが旧・宇宙開発事業団(NASDA)の「H1ロケット」により1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げた。「ふじ」(Fuji)とも呼ばれている。これに搭載されたデジタル系とアナログ系のトランスポンダーを設計・製作は日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が担当した。FO-12は1989年11月に運用を終えた。なお、FO-12の開発時のコード名は「JAS-1」(Japan Amateur Satellite-one)だった。Fuji-Oscar 12(FO-12)に続くJARLの2号機はFuji-Oscar 20(FO-20)である。JARLが1990年2月7日に打ち上げた。「ふじ2号」(Fuji 2)とも呼ばれている。上りは145MHz帯、下りは430MHz帯を用いている。その後、アナログ系のJAモードのトランスポンダーは運用可能だが、CWビーコンの発射が不安定になった。なお、FO-20の開発時のコード名は「JAS-1b」(Japan Amateur Satellite-one b)だった。

◆エイティエイト
88 / eighty eight
女性との交信の最後に打鍵したり言ったりする「さようなら」のあいさつ。「エイティ・エイト」または「はちじゅうはち」と言う。

◆エイティメーター
80m / eighty meter
波長80メートルの3.5MHzのこと。

◆エキサイター
exciter
exciteには「励振」「励磁」「励起」などの意味がある。exciterは、たとえば送信回路の発信部からドライバー(終段部の直前の低出力増幅器)直前までの増幅部などがある。

◆液晶ディスプレイ
liquid crystal display
略称は「LCD」。液晶板を電流でコントロールして光を透過・遮断し、文字やグラフィックスを表示する仕組みのディスプレイ。消費電力が少ないためノート型パソコンやデジタルカメラ、携帯電話、通信機器などに用いられている。液晶板の背後から照明を与えるバックライト付きの液晶ディスプレイは表示が鮮明なのが大きな長所。しかし消費電力が大きい。一般に液晶ディスプレイはブラウン管のCRTに比べコントラストと画面表示の応答速度(100mmsec前後)、それに色彩表現力が劣っているが、改善が進んでいる。CRTに比べた液晶ディスプレイの長所は厚さが薄く省電力であること。液晶ディスプレイの種類はSTN型、TFT型、TNT型などがある。

◆エクス
ex / x
ex(エクス)の接頭辞は「前の」「以前の」「元の」を意味する。「ex JA1***」(または EX JA1***)と言えば「以前のコールサインはJA1***です」という意味になる。ジョーク混じりに(元ヤングレディの)妻、奥さんのことをex-YL(エクス・ワイエル)と言うことがある。

◆エクスペディション
expedition / pedition
日本語で「エクスペディション」(ペディションまたはペディ)というと、JCCやJCGのために日本国内の市や郡へ移動して運用すること、そして海外遠征を意味する。なお、DX'erのためにアマチュア無線局が少ない国・地域へ遠征して運用することを「DXペディション」という。遠距離を意味するDXと、遠征を意味するexpeditionを掛け合わせた言葉。英語圏では「DX expedition」と表現しても「DX pedition」と表現しても意味が通じる。

歴史的な「ゴンワキ・エクスペディション」:「Gon-Waki pedition」を参照。
左からCharley Orr(W4NND)、Buddy Buttizoni(W3GRP)、Bob Denniston(1948年、VP7NG局で)


 ©ARRL

◆エコー
echo
「こだま」または「やまびこ」が原意。電波が地球の周りを伝播するとき、長距離になると同じ電波が複数の経路で受信者のところに届く。電波は光と同じ速度で伝わるが、それでも伝わる経路の距離によって到達時間が異なる。時間差を伴って到達した同一電波が複合した結果、信号が「こだま」「やまびこ」のように聞こえる現象がエコー。「エコーが掛かる」などと表現する。

◆エスエヌ比
Signal to Noise Ratio
「信号対雑音比」。受信機の性能など多くの分野で用いられていて、この値が大きいほど雑音が少ない状態となる。「S/N」と表記することもある。

◆エステート
estate
「遺品」または「中古品」という意味。「This photo is W1X*'s shack, W1X* is silent key who's estate i am handling.」というと「この写真はW1X*のシャックです。彼の遺品のリグは、わたしが使っています」という意味。

◆エックス
ex / x
ex(エクス)の接頭辞は「前の」「以前の」「元の」を意味する。「ex JA1***」(または EX JA1***)と言えば「以前のコールサインはJA1***です」という意味になる。ジョーク混じりに(元ヤングレディの)妻、奥さんのことをex-YL(エクス・ワイエル)と言うことがある。

◆エッチング
etching
銅箔が貼られたプリント基板の特定の部分だけを酸化第2鉄の溶剤などで腐食させて回路(配線)パターンを作成する技術。直訳すると「蝕刻」で、原意は版画の「腐食銅版術」(薬品で銅版などの版の表面を腐食させて凹版を作る手法)である。

◆エフずれ
difference between transmitting frequency and receiving frequency
受信周波数と送信周波数とが少し異なっていることを表現する俗語。意図した周波数から少しずれていること。「Fずれ」。

◆エミッタ
emitter
電子や正孔(ホール)を放出するトランジスタの電極。「E」が略号。この名は放射する(emit)に由来する。なお電子と正孔は「キャリア」(carrier)と呼ばれる。

◆エリア
area
「地域」。通信を管理する当局の管轄地域。日本のアマチュア無線の場合、各局のコールサインには3文字目にエリアを示す1〜φの10通りの数字(10コールエリア)が付けられている。この10コールエリアの各1局と交信してQSLを獲得すると得られる賞(アワード)がJARL発行のAJD(All Japan Districts Award)である。

エリア 都道府県
1 東京 神奈川 埼玉 千葉 茨城 栃木 群馬 山梨
2 愛知 静岡 岐阜 三重
3 大阪 京都 兵庫 奈良 和歌山 滋賀
4 広島 岡山 山口 鳥取 島根
5 香川 徳島 高知 愛媛(四国の全県)
6 福岡 佐賀 長崎 熊本 鹿児島 宮崎 大分 沖縄(九州の全県と沖縄県)
7 青森 秋田 岩手 宮城 福島 山形
8 北海道
9 富山 石川 福井
φ 新潟 長野

◆エリアコード
area code
国・地域を特定するために付けられる符号。アメリカ各州のエリアコードは、たとえばカリフォルニア州は CA である。アマチュア無線のコールサインでは、JA は日本、JAφは信越地方(新潟・長野の両県)を示す。

◆エレキー
ele-key
エレクトロニック・キーヤーの俗称。またはエレクトロニック・キーヤーに短点と長点を送出させる電鍵(パドル、マニピュレータなど)の俗称。日本では「エレキー」はカツミ電機(http://www.t3.rim.or.jp/~katsumie/index.html)の商標となっている。カツミ電機は、同社製品の“エレキー”(パドル)のことを「スクイーズ操作(iambic)マニピュレータ」と称していた。ハイモンド・エレクトロ社は「auto keyer」または「自動電鍵」と称している。

米国MFJ社のエレクトロニック・キーヤー

カツミ電機の「MK-22」

◆エレキーヤー
electronic keyer
エレクトロニック・キーヤーの俗称。

◆エレクトロニック・キーヤー
electronic keyer
電子回路(かつては真空管回路、現在は半導体回路)を搭載し、モールス符号の短点と長点を自動的に自動送出するなどの機能を搭載した装置。短点と長点のレシオを微調整してウエートを変える機能を持った製品もある。またセミオートとフルオートを切り替えられる製品もある。多くはスピーカーを内蔵して送出信号をモニターできるようになっている。モニター音の音質(高低)を調整できる機種もある。独立した筐体に収められたエレクトロニック・キーヤーと、、無線機に内蔵されたエレクトロニック・キーヤーもある。米国MFJ社ではベンチャー社のパドルを内蔵したエレクトロニック・キーヤーを製品化している。エレクトロニック・キーヤーには、iambic方式対応型と、non-iambic型(非iambic型)とがある。iambic方式対応のエレクトロニック・キーヤーにデュアルパドルを接続して2枚のパドルをスクイーズすると、短点と長点を交互に自動送出するが、non-iambic型にはこの機能が無い。エレクトロニック・キーヤーは「エレキー」「エレキーヤー」の略称でも呼ばれている。

エレクトロニック・キーヤー(米国MFJ社)

エレクトロニック・キーヤーとパドルの複合製品(米国MFJ社)

◆エレメント
element
これ以上分けることのできない構成部分。アンテナの場合はエレメントを「素子」ともいう。「エレ」と略すことも多い。4エレ八木アンテナのエレメント(細いアルミパイプ)は4本。

◆エンコーダ
encoder
情報を暗号化したり、他の記号や符号に変換する装置。VHF/UHF帯のリピータ(中継器)を起動するための低周波信号(トーン)を発生する装置をトーンエンコーダ(tone encoder)という。逆に暗号を解読したり、データを元に戻す装置をデコーダ(decoder)という。

◆延長コイル
loading coil
アンテナのエレメント長を充分な長さにとれない場合、エレメントの途中にコイルを挿入して見かけ上のエレメント長とし、共振の条件に合わせることがある。このコイルが延長コイル。「ローディング・コイル」または「負荷コイル」ともいう。逆にエレメントが長すぎるときに挿入するのが短縮コンデンサ(ローディング・コンデンサ)である。「短縮コンデンサ」を参照。

アンテナ用の延長コイル(ローディング・コイル)

◆エンティティ
entity / entities
「エンティティ」は国家などの自主独立体を意味する言葉。DXCC(DX Century Club)の名誉あるDXCCアワード(会員証:DXCCカードを兼ねる)を獲得するためには、ARRLが規定するDXCCリストに基づく世界の100エンティティ以上のアマチュア無線局と交信し、それぞれQSLカードを得る必要があるが、かつては「エンティティ」と言わず「カントリー」と呼んでいた。しかし1998年1月17日にARRLの「DXCC 2000委員会」(DXCC 2000 Committee)がDXCCの新基準(criteria)を制定、1998年3月31日に施行した結果、「カントリー」と言わず「エンティティ」と呼ぶようになった。2007年9月現在、DXCCリストのエンティティ数は337である。この中に小笠原(Ogasawara)と南鳥島(Minami Torishima)が独立したエンティティとして含まれている。逆に削除されたエンティティが58あり、その中に琉球諸島(Ryukyu Is.:現在は沖縄)と沖ノ鳥島(Okino Tori-shima)が含まれている。337というエンティティ数は、ISO(国際標準化機構)の国名コード数の244や、国連加盟国総数の192よりも、はるかに多い。「エンティティ」は国家などの自主独立体を意味する言葉。DXCC(DX Century Club)の名誉あるDXCCアワード(会員証:DXCCカードを兼ねる)を獲得するためには、ARRLが規定するDXCCリストに基づく世界の100エンティティ(entity / entities)以上のアマチュア無線局と交信し、それぞれQSLカードを得る必要があるが、かつては「エンティティ」と言わず「カントリー」と呼んでいた。「DXCC」を参照のこと。

◆エントリー
entry
コンテストやフォックス・ハンティングなどの競技会への参加を申し込むこと、参加・出場すること。

◆エンド・ローディング
end loading
アンテナの末端にローディング(コイルなど)を装着すること。アンテナ長を短縮したり、単一のアンテナをマルチバンダーとする目的などで用いる。その種のアンテナをエンド・ローディング・アンテナという。バーチカルアンテナの底部にローディング・コイルを装着したアンテンもエンド・ローディング・アンテナである。「トップ・ローディング」ということもある。

◆エンパイヤ・チューブ
empire tube
裸線にかぶせて絶縁するための細い円筒形のチューブ。太さや色が各種ある。

◆円偏波
circular polarization
地上波による無線通信では直線偏波(水平偏波か垂直偏波)が使われているが、人工衛星を利用する衛星通信では直線偏波は不向きであり、円偏波が向いている。円偏波は位相を90度ずらした二つの直線偏波を合成したもの。また地上波による無線通信でも、垂直アンテナ局と水平アンテナ局の両方に対して性能の良いアンテナがある。エレメントを十字架状にしたクロス八木アンテナや、エレメントを螺旋状にしたヘリカル・アンテナなどである。



◆オーエム
old man
アマチュア無線仲間の先輩男性に用いる敬称。JAコールの局長さんなどベテランのハムに対して特に用いることが多い。「OM」と記す。

◆オーディオ・プロセッサ
audio processor
SSBの送信時、マイクからの音声入力が弱すぎたり強すぎたりしないよう、一定に保つためのデバイス。SSB対応の送信機やトランシーバの多くにオーディオ・プロセッサが搭載されており、ボタンを押してON/OFFしたり、ツマミを回してレベル調整したりすることができる。

◆オーバー
over
電話形式の交信の最後に言う「どうぞ」「お返しします」と同じ。原意は英語の「終わった」(over)。

◆オーバーシー
oversea / overseas
「海外の」または「海外」。日本では「海外局」の意味で用いられることもある。

◆オーバートーン発信器
overtone oscillator
それぞれの水晶発振子(クリスタル)には固有の基本発信周波数があるが、その高次(3倍、5倍、7倍など)の振動モードで発振させるためのデバイス。一方、「オーバートーン水晶発振子」は高次の振動モードで発振するよう設計された水晶発振子のこと。

◆オーバーパワー
operating with illegal power
無線局免許で許可された空中線電力を超える高出力の電波を出すこと。

◆オーバーモジ
overmodulation / modulated too much / too much modulation
過変調(overmodulation)のつづめ言葉。送信時、マイクの音量が大きすぎたりして発射電波の質が悪くなること。過変調された電波は音質が歪むだけでなく、スプラッター(splatter)が発生して送信周波数の上下の数10kHzにわたって妨害電波を発射する結果となる。

◆オービット
orbit
天体や人工衛星などの「軌道」。「人工衛星軌道」(orbit of artificial satellite)。


 ©NASA

◆オーム
ohm
電気抵抗の単位。記号は「Ω」。

◆オールバンド
all band
アマチュア無線の全ての周波数帯。HFトランシーバで「オールバンド」というと、一般に1.8MHz帯〜29MHz帯を網羅していることをいう。

◆オールモード
all mode
アマチュア無線に許可されている全ての電波型式。CW, AM, SSB, FM, RTTY (FSK/AFSK), SSTV, ATVなど。HFトランシーバで「オールモード」というと、一般にCW, AM, SSB, FM, RTTY (FSK/AFSK)を網羅していることをいう。

◆往復電鍵
paddle
横振れ電鍵の別名。

K8RA P-2

◆欧文
Western language
英語を含むヨーロッパ語の文章、またはその文字(欧字)、またはローマ字。対語は「邦文」。

◆欧文通話表
phonetic code / phonetic alphabet
「フォネティック・コード」のこと。「フォネティック・アルファベット」ともいう。音声通信でアルファベットと数字の正確さを保つために定められた発音のリスト。「A, Alfa」「B, Bravo」など。
国際電気通信連合(ITU)で締結された国際電気通信条約で定められている。具体的な内容は本書の[国際フォネティック・コード]を参照のこと。日本で使われている日本語の通話表は「和文通話表」という。

◆オケラネット
Okeranet
単独世界一周レースに挑戦した海洋冒険家、多田雄幸の愛艇「オケラ」を支援しようと発足したアマチュア無線ネットワークが母体となって誕生した海上移動局支援のセイフティ・ネットワーク。ネット交信は原則として毎日 12:20〜13:00JST(21.437MHzのUSB)。

◆お声がけ
call
CQを出している局か、第三者とQSOが終わった局など特定の局を呼び出すこと。ハム的な表現。なお call は米国では「呼び出す」という意味もあるが、一般の会話で「I called you yesterday.」というと「きのう、あなたに電話しました」)という意味で使われることが多い。

◆オシレーター
oscillator
高周波発信器や水晶発振器など「発信器」の総称。

◆オシロスコープ
oscilloscope
電流・電圧などが大きく変化する信号波形をモニター画面上に表示して観察・測定する装置。水平軸に時間軸をとり、垂直軸に入力の波形の振幅に比例した量を表示する。

◆オスカー
Oscar
オスカーは世界と日本のアマチュア衛星を象徴する言葉である。 1961年12月12日(米国時間)、米国西海岸のグループ「プロジェクト・オスカー」(Project OSCAR)が打ち上げた初のアマチュア衛星が「オスカー」(OSCAR-1)だった。これを契機に、1969年、米国の首都ワシントンDCで教育団体としてAMSAT(アマチュア衛星通信協会)が発足した。AMSATの尽力により、1983年6月16日(現地時間)にはAMSAT-OSCAR 10 (AO-10)が仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 1-06(ARIANE 1-06)で打ち上げられた。ところが衛星がロケットの三段目を切り離した後、ロケットの推力が設計通り低下しなかったため追突された。この結果、AO-10は高度3,997km〜35,449kmの楕円軌道衛星になってしまった。これに伴いバンアレン帯(放射線帯)を通る時間が長くなり、半導体チップの損傷が設計より速く進んだ。現在はほとんど機能していない。AO-10の送信は435MHz帯、受信は145MHz帯であった。続いてAMSAT-OSCAR 13(AO-13)が1988年6月15日(現地時間)、仏領ギアナのクール(Kourou)基地からアリアン・ロケット 4(ARIANE-4)で打ち上げられた。打ち上げは成功し、1ヵ月以内に二回にわたる軌道修正にも成功した。これによりAO-13は自力で計画通りの軌道に乗ることに成功した初のアマチュア衛星になった。1988年7月22日以降はBモードを皮切りに、順次、運用が始まった(RUDAKを除く)。1990年になると軌道がずれ始め、1996年12月5日、大気圏へ再突入した。2007年10月現在、オスカーの連番は50を数えている(SaudiSat-OSCAR-50<SAUDISAT-1C>)。 一方、国産初のアマチュア衛星はFuji-Oscar 12(FO-12)である。JARLが旧・宇宙開発事業団(NASDA)の「H1ロケット」により1986年8月13日に種子島宇宙センターから打ち上げた。「ふじ」(Fuji)とも呼ばれている。これに搭載されたデジタル系とアナログ系のトランスポンダーを設計・製作は日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)が担当した。FO-12は1989年11月に運用を終えた。なお、FO-12の開発時のコード名は「JAS-1」(Japan Amateur Satellite-one)だった。Fuji-Oscar 12(FO-12)に続くJARLの2号機はFuji-Oscar 20(FO-20)である。JARLが1990年2月7日に打ち上げた。「ふじ2号」(Fuji 2)とも呼ばれている。上りは145MHz帯、下りは430MHz帯を用いている。その後、アナログ系のJAモードのトランスポンダーは運用可能だが、CWビーコンの発射が不安定になった。なお、FO-20の開発時のコード名は「JAS-1b」(Japan Amateur Satellite-one b)だった。

1974年4月号のQST誌に掲載されたオスカー

◆オナー・ロール
Honor Roll / DXCCHR / WPX Honor Roll
「栄誉名簿」のこと。「HR」と略すこともある。アマチュア無線界でオナー・ロールと言えば、事実上、DXCCオナー・ロール(DXCC名誉会員またはその名簿)を指す。ARRLが規定するDXCCリスト(DX Century Club list)の現存するエンティティのうち、未交信のエンティティが一桁(つまり9エンティティ以下)になると、その栄誉を讃えてオナー・ロール入りする資格を得る。2007年10月現在、現存するエンティティは337なので、328エンティティ以上の交信証明が必要だということになる。いかにオナー・ロール入りが困難かを物語る。DXCCのオナー・ロールを「DXCCHR」と略すこともある。
米国CQマガジン誌(CQコミュニケーションズ社)が発行するアワードのWPX(Worked Prefix Award)も、世界の600プリフィックス以上のアマチュア無線局と交信することで「WPX Honor Roll」というオナー・ロールの資格を得ることができる。オナー・ロールの認定書は発行されないが、米国CQマガジン誌に隔月でオナー・ロール名簿が掲載される。WPX(Worked Prefix Award)そのものの要件は、HF帯(160〜10m)において[CWとSSBのミックスで400プリフィックス以上]、[CWオンリーで300プリフィックス以上]、[Two-way SSBで300プリフィックス以上](Two-way SSBとは双方とも SSB モードで交信すること)となっている。

DXCC名誉会員リスト(2007年9月23日現在)


 © ARRL

◆オプション
option
標準装備品以外のもの。CWの受信性能を高める狭帯域フィルタ、アンテナとリグとの整合性を高めるアンテナ・チューナー、受信性能を向上させるプリアンプなどがある。メーカー純正のものと第三パーティ製のものとがある。リグの内部に内蔵できるものと、外付けするタイプとがある。

◆オフセット周波数
offset frequency
VHF帯などでリピータ経由で交信することがあるが、この際、送信周波数と受信周波数をトランシーバ側で自動的にシフトする(ずらす)。このずらす周波数をオフセット周波数という。

◆オフバンド
outside the band
アマチュア無線に割り当てられている周波数帯をはみ出すこと。日本では無線局運用規則・第八章アマチユア局の運用・(発射の制限等)第二百五十七条に「アマチユア局においては、その発射の占有する周波数帯幅に含まれているいかなるエネルギーの発射も、その局が動作することを許された周波数帯から逸脱してはならない」と規定されている。

◆オフライン
offline / off-line
無線やコンピュータネットワークなどの通信回線がつながっていない状態。対語は「オンライン」。

◆オペアンプ
op amp / operational amplifier
「オペレーショナル・アンプリファイア」の略称。「演算増幅器」が定訳。「OPアンプ」と表記することもある。IC増幅回路や発振回路などとして用いられ、通信機や測定器に利用されている。

◆オペレータ
operator
「技師」「技士」「無線通信士」「電信技士」「無線従事者」などとして広く用いられている言葉。英語圏では無線局(radio station)で運用する人の呼称として operator を多用する。「op」と略すことがあり、「ham op」といえばアマチュア無線家、「YL op」といえば女性アマチュア無線家のこと。

◆オペレート
operate
(無線局の送信機などを)運用すること。

◆オメガ・マッチ
omega match
八木アンテナなどのビームアンテナでしばしば用いられるマッチング(整合)の仕組み。エレメントに平行して取り付けるロッドを固定したまま、ショートバー(shorting strip)をスライドしてマッチングをとる。給電部の配線がΩ(オメガ)型をしていることからこのように呼ばれている。他にガンマ・マッチというマッチングもある。

◆オンエア
on the air
「放送中」「通信中」「送信中」という意味。[ON AIR]ランプが付いている送信機やトランシーバでは送信すると[ON AIR]ランプが点灯する。

◆オンエア・ミーティング
on-air meeting / on the air meeting / meeting on the air
あらかじめ約束し合った日時と周波数で複数の局が参加してQSOすること。「スカイ・ミーティング」とも言う。和製英語なので英語圏の人に「on air meeting」と言うと誤解される可能性がある。

◆オン・ズィ・エア
on the air
「放送中」「通信中」「送信中」という意味。[ON AIR]ランプが付いている送信機やトランシーバでは送信すると[ON AIR]ランプが点灯する。

◆オンライン
online
無線やコンピュータネットワークなどの通信回線がつながっている状態。対語は「オフライン」。


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